私が盲導犬ボランティアを始めた時に初めて育てたワンコ、ジュリを迎えに行ってきました。
九盲での盲導犬の引退は10歳と聞いています。引退する時、
⑴引退犬ボランティアに委託する。次の盲導犬を貸与できる。
⑵ユーザーが最期まで看取る。お仕事は引退しても、新たな盲導犬は貸与できない。
の2択ですが、ユーザー自身の親戚や知人に引退犬ボランティアになってもらって、自分の近くに置いておく方もいると聞きます。
ジュリのユーザーさんは、ジュリを最後まで看取りたいと悩んでありました。ご近所にはジュリのファンがたくさんいて、引退後の引き取りを頼むこともできたと思いますが、自分が手放すなら、パピーウォーカーの私にしか渡したくないと言ってくださり、わが家へ帰ってくることになりました。
8年前、ユーザーさんが共同訓練に入る直前に体調を崩されて、訓練に入る日程が変わり、貸与される予定だった犬も次に訓練に入った人と入れ替わったそうなんです。その入れ替わったユーザーさんは、しばらくしてご家族のいる関東へ引っ越しされ、盲導犬も引退して連れてゆかれたと聞いています。なので、もし、順番通りに盲導犬になっていたら...ジュリは私たち家族には帰ってこなかった。
その時以外に体調を崩したことがないとおっしゃるくらい、元気なユーザーさんなのに、その時だけは神様がいたずらしたのかな?と思ってしまうくらいドラマチック。
私にとってパピーの修了式の別れは身を引きちぎられるほどの辛さでした。頭の中で、「盲導犬になって帰る」と無理やり思い込むことで自分を納得させていましたが、多くの盲導犬はパピーウォーカーには帰らないのも事実です。決してそれは不幸なことではないし、PW側の家庭の都合も思い通りにもならない時もあります。ですので、私たちがジュリと再び過ごせるのは幸運に恵まれたと思っています。
協会でジュリに会った時、ジュリの心はここにあらず。名前を呼んでも、キョロキョロとユーザーさんを探していました。寂しいというよりも、引き離すのが可哀想でした。
オデットは喜んでジュリの臭いを嗅いでましたが、家に一緒に帰ってきたら「あら?またホームステイ?今度はいつまで?」ってキョトンとしていました。
ジュリは、家に着くと周りの匂いをクンクンと嗅ぎ、部屋の中に入ると犬用クッションに座り込み、そこから動きませんでした。家のなかを隅々まで探検するパピーとは違う!
ボウルにフードを入れるカチャカチャ音がしても、動かないっ!病気?耳が聞こえない?とか思ったけど、何度も呼んだら来て完食したので一安心。
ご飯とワンツー以外は、犬用マットの上から一歩も動きません。
歩けるのか不安でしたが、今朝はオデットと一緒に家の周辺1時間コースを歩き切って、これまた一安心。パピーの時にお花見した公園、子供達とサッカーした公園、猫のウンチを食べた公園、いくつもの公園をはしごしたけど、オデット以上に地面のクン活に忙しくて、景色はみてなかったなぁ。私の左側をキープしつつ、くんくん忙しそうでした。
引退したんだもの、いろんなニオイに刺激をもらってね。
オヤツにも興味がなくて、なかなか食べません。鹿のあばら骨は舐めるのがやっと。バリバリと噛み砕くオデットが若々しく見えたくらい。
クッションにいるけど、ずっと寝てるわけではなくて、目を開けてたり、キッチンにいる私を見ていたり。少しずつでよいから、遊びや食べ物に貪欲になってほしいなと思っています。