東京にある公益財団法人アイメイト協会は、60周年を迎える、盲導犬においては草分け的な存在であり、全国盲導犬施設連合会に属さずに独自の考えで運営されいます。アイメイトの盲導犬は、貸与ではないところが日盲や九盲との大きな違いでしょうか。
日曜日に電車で乗り合わせた一人の男性が思わず録画した動画をネットにあげ、それに呼応した全国の声が行政や協会に働きかけ、動物愛護団体も動かしました。あっという間の出来事でした。
動物を虐待することは、盲導犬でなくても許せません。たとえペットでも、虐待する人は罰せられるべきだと思いますが、自分の犬を蹴ったり叩いたりする人はよく見かけます。ですが、日本で訴えられる事は稀でしょう。それが盲導犬だったら?
「だから盲導犬に反対なのよ!」というコメントを多く見かけました。「犬でなく、人を使えばよいじゃないの!」とも。
もし自分が光を失った時、24時間、他人と一緒にいることに耐えられるでしょうか?家族ならなおのこと、自分のために家族の人生を犠牲にできるでしょうか。盲導犬を使用する人、それぞれの理由があると思いますが、「自分の目として使う」という理由は一番目ではないように私は思います。
落ち込んだ気分の時はだまって愚痴を聞いてくれ、気分のよい時には一緒に散歩してくれ、手を伸ばせば、あたたかい体温が伝わって来る犬だから心許せるのではないでしょうか。犬の世話をし、信頼関係を築いているユーザーがほとんどだと思いたい。
今回は動画のおかげでユーザーとその行為が証明でき、警察もびっくりするような速さで「犯人逮捕」できるかもしれません。「可哀想な盲導犬」を自由にすることも。
最近は、自分のペットを撮るように、誰でも何でも手軽に携帯で撮影します。テレビの中で有名人に群がる一般人はみな携帯を向けていて、異様な光景です。昔、ダイアナ妃に群がっていたパパラッチとなんら変わりなく、理性を失い、自分の行いが見えていないように思われます。
目の不自由な人の写真を断りもなく撮るという行為は正しいことではありません。ですが撮影前にも犬を宙吊りにする行為が数回目撃され、撮影するに至ったそうです。この動画がなければ、いくら訴えても「痛めつけられている盲導犬」を救うことができなかったであろうと思われ、録画の是非に悩みます。
この盲導犬虐待疑惑は、盲導犬ユーザーにも盲導犬協会にも影響があると思います。教訓を生かすとしたら、すべての協会は、全ユーザーのフォローアップをただちに行い、犬の状態を確認すること。これからも常時行って欲しい。一年に一度や、電話で済ますなど、もってのほか。誰の目にもつかずに、病気や痛みに耐えている盲導犬がいるかもしれません。協会はパピーウォーカーの思いをないがしろにせず、犬と真摯に向き合い、もっと責任を持って考えて欲しい。それは盲導犬に限らず、犬舎にいる訓練犬に対しても同じことです。時間を惜しまず、その姿勢を発信して欲しい。世間は厳しい目で盲導犬事業を監視していることを肝に銘じてください。
無償貸与と言われる盲導犬は、国や地方の補助金や企業からの寄付金が一頭あたり200万〜300万円つき、決してボランティアの愛情だけでできているわけではありません。お金のための福祉事業と言われないためにも、協会は犬の管理を徹底的に行うべきだと思います。
そうでなければ、昨今、数が増えている動物愛護団体に反論できないでしょう。